★「『BOOKOFF 東大和市中央図書館』
 ネーミングライツ(命名権)に関するアンケート」

 東人和市は、同立中央図書館のネーミングクライツ(命名権)をブックオフコーポレーション株式会社と締結し、41日から愛称として「BOOKOFF東大和中央図書館」を用いると発表しました(東やまと市報20263月号)。年間契約100万円で、「図書館内の業務に影習はありません」と書かれています。

 市民が日常的に利用する公共の文化施設に対して、いかに財政確保のうえからとはいえ、市が一方的に命名権を募集し、市民の判断を仰ぐこともなくこれを独断で決定することに疑問を持ったわたしたち自由と人権グループは、3月上旬、下記のようなアンケートを作成・配布し、市民の意向を調べることにしました。
 同市が中央図書館に「BOOKOFF」という古書店名を冠する(しかも「東大和市立」の「市」が抜けている)こと、に関しては「自由と人権通信NO.66」にも書いてありますので、そちらもご参照ください。

          

                              
◆情報公開請求により改めて判明したこと

 東大和市立中央図書館この件に関して、これまで行政当局からはいっさい情報が伝わってこなかったため、中央図書館ネーミングライツ(以下「NR」と表記)に関する庁内協議に係る文書の情報公開請求申請を2月20日付けで行いました。3月11日に部分公開(印影や納税証明はともかくとして、審査項目やその得点まで非公開というのはいささか納得がいきませんが、)されました。それによると、以下のようなことが分かりました。
@「NR・パートナーが命名できる名称は、
市民に親しまれ、かつ、対象施設の設置目的にふさわしいものであることを条件に」する。
A命名権料は年間100万円以上
B愛称使用期間は、2026年から2031年までの5年間
C募集要項の配布から質問受付期間は、2025年11月25日(火)〜同年12月2日(水)
D応募書類受付期間は、2025年12月15日(月)〜同月19日(金)
E市が設置する(NRパートナー制定)審査委員会において「優先交渉権」を付与する。応募者が1者の場合は、NRパートナーとしてふさわしいか否かを審査し、交渉権者とすることを決定する。
交渉権者決定結果を(市民に)公表する。
F市は交渉権者と協議しNRに関する協定を締結する。【以上は「東大和市立中央図書館NR・パートナー募集要項」より】
GNRパートナー制定審査委員会は、副市長・教育長・その他担当部課長・担当主事等の9名
H同審査会で協議・決定された事項(抜粋)は次のとおり。
・2026年1月14日(水)に開かれた同審査委員会で、応募要件を満たしている
応募者は1者(ブックオフコーポレーション株式会社)であり、交渉権者として了承し、市長に報告する。
・ブックオフ側から提示されている愛称は「ブックオフ 東大和中央図書館」であり、
「市立」の部分が入るかについて検討が必要。
・相性が決定したら、
市民に広く知ってもらうため、丁寧な周知を行う必要がある。【以上、「NRパートナー制定審査委員会議事録」より】
I同年1月23日(金)に協定締結に向けた打ち合わせ(参加者担当部課長3名・企業側担当者2名※墨塗り)で協議・決定したこと(抜粋)
・愛称は「BOOKOFF 東大和市中央図書館」とする。
 【「協定締結に向けた打ち合わせ議事録」(最終頁)より】
※文字色黒の斜体は引用者(筆者)
 これを見ると、命名権の候補者は1者(社)、ブックオフコーポレーション株式会社だけであり、命名権料も年間最低の100万円で決定してます。地方自治体の契約は競争入札を原則とする(地方自治法234条1項、2項)中で、いかにも不自然であり、実質的な指名入札ともとられかねない。ここではこれ以上の言及は避けますが、これよのももっと大きな問題があります。
 これを見ると、本政策について市民に公表するのは「交渉権者」が決定した後になってです。最後にも触れるつもりですが、日常的に市民が使用する施設の命名権について、ほぼ全ての枠組み、命名権売り渡し先が決まった後で初めて市民に公表するというスケジュールはあまりにも乱暴です。この事が市民の不評、不満、違和感の源泉になっていることを市の当局者は自覚すべきであります。本来ならば、身近な施設の命名権について、その構想段階から、パブコメやアンケートなどで市民の意識調査をすべき案件です。
 和地市長のもとで、独断的な政策執行が近年目立っていると感じるのは筆者だけでしょうか。
 なお、募集要項に先立って、2025年11月17日に市役所内で行われた庁議についてはこちらから、また、2026年2月4日に交わされた契約書についてはこちらからご覧になれます。


アンケート集計一覧
 アンケートで得られた結果は以下のとおりです。
 


◆アンケートに書かれていたご意見

 
はじめに
 紙・ネットを問わず、また「賛成」「反対」「どちらとも言えない」を問わず、このアンケートに回答をお寄せくださった多くの皆さまに心から感謝いたします。
 ここに掲載するものは紙のアンケート・ネットアンケートを問わず、提出された順に全て記入してあります。
 「アンケート一覧」にも書きましたが、「大賛成」「大反対」は「意見」とはいえないので割愛しました。
 なお「どちらとも言えない」に関する意見は1件ありましたが、内容的には「反対」とすべきものでした。しかし、選択を尊重し、集計では「どちらとも言えない」に入れました(一覧表参照)。
※(紙)は紙のアンケート、(ネ)はネットのアンケート

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【賛成】
・財源確保はとても大変だと思うので、とても良いことだと思います。感情論等の批判に流されずに、継続してほしいです。この契約で得られたお金は、巡り巡って、市民に返ってくるものだと考えるからです。(ネ)
・馴染むまで違和感が有るのは、わりと当たり前だと思います。年間100万円は、図書館、市民にとっての財源確保として良いと思います。また、図書館で知った本を手元に置きたいと思う方も増えれば、BOOK・OFFさんにとっても良いのかとも思います。(ネ)
・業務に影響が出ないのなら財源確保として有益だと思いました。ただし財源を明確に、うまく利用していただきたいとは思います。(ネ)
・図書館の内容は変わらないと聞いたので。(ネ)
・BOOK・OFFは有名なので、東大和の知名度も上がると思います。(ネ)
・財政に余裕がなく、有名な特産品もない東大和市を維持するための取り組みとして問題ないと思う。ネーミングライツを知らない人が勘違いしがちだが、あくまで愛称なので図書館の運営や東大和市の所管が変わる訳ではない。
愛称に文句がある方は自分でお金を出してネーミングライツ権を獲得すればいいだけ。(ネ)

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【どちらとも言えない】
・BOOKOFF東大和中央図書館と愛称を付けることに反対。BOOKOFFとは古本屋さんの意味になる。東大和中央図書館のままでよい。(紙)

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【反対】
・公共性の強い、すなわち民衆の共有財産という性格の強い図書館に、命名権と称する公告の導入は不適切です。(ネ)
・BOOK OFFの所有物と市民に思わせてしまいそうだから(ネ)
・公共施設にネーミングライツはそぐわない。「行政ももっと経営感覚を持つべきだ」としたり顔で言う人が最近増えていますが、特定の企業との癒着が必ずその先に存在します。友人からは「東大和市の図書館はこれから古本オンリーで運営していくんでしょ?」と皮肉を言われました。
・BOOK OFFと間違えてしまいそうです。(紙)
・今まで通りでよい。(紙)
・目標意図が理解しにくい。看板だけなら収入目的と取れる。市民にわかりやすい、利用価値が高まるなら理解できる。寄付の古本を買い取ってくれて、市の財源になる等。(紙)
・名前こそ、存在の意味を表す大切な表現(ネ)
・あまりにもストレートで、少々露骨過ぎるように思います。「BOOKOFF」の店は町中のあちこちにあり、そのような店舗とまちがえられそうです。もう少し品のいい、そしてBOOKOFFの人たちも受け入れられるような、何かよい工夫はできないものでしょうか。(紙)
・どういう形で、つまりどんな経緯を経て決まったのでしょうか。入札? 何か条件、例えば図書館との取引の実績などがあったのでしょうか。その程度の金額かと知るとなおさら腹立たしく、何か対抗する方法は……と思うのですが、遅いですね。わたしはボーッとしていました。今になって気づくのですから。
何かにつけて公共性が衰退していく昨今、市民への説明責任をないがしろにする素地があるのだろうと思います。「平和市民のつどい」にしても。(紙)
・名前を「売買できるモノ」としてしまうことに抵抗がある。とくに公共の名前をお金に変えてしまうということに反対。公共の本質を失い、だんだんと中身が無くなっていくのではないか。
また市民に混乱を招く。定期的に愛称が変わるというのも、分かりにくい。(ネ)
・親しまれる愛称は良いですが、企業名が付くのは反対です。財政がきびしい状態なのはわかりますが。(紙)
・今回の協定はネーミングライツの対象が図書館という公共財ということ、協定先がブックオフという古書業ということでマスコミでも否定的な捉え方があります。私は同じ書籍を扱うという意味でブックオフが図書館を応援してくださることは否定しません。でも、電話応対の名乗りがブックオフから始まり、かけ間違いと思う人もいるのでは。また、すでに蔵書検索結果に文字数の都合でブックオフしか表示されない画面もあります。そもそも図書館業務に変更はありませんや、古書販売はしませんなどをアナウンスしなければならないのは、混乱が生じている証拠です。もっと市民に混乱の無い品のある支援としないと、ブックオフのブランドイメージにも影響があるのではないでしょうか。ネーミングライツを採用していても、電話応対などはそのままの大阪市立図書館や海岸名に企業名を冠するのを止めた鎌倉市の例を参考にしてほしいです。市の負担は無いと言いますが、システム変更などすでに見えにくい経費は発生しています。年間100万円は何に使われるかも気になるところです。(ネ)
・市の建造物に企業の名前が入るのは違和感があり反対します。(ネ)
・市の建造物に企業名が入ることは反対です。(ネ)
・なぜ市の図書館に企業名が入るのか違和感しかありません。(ネ)
・アンケートを取ってくださってありがとうございます。このセンスのないネーミングに腹が立ち、市役所とBOOKOFFに、愛称を使わないでほしいと2月中にメールしたのですが、市役所からはなぜルーミングライツを導入したのかの説明をするお返事があり、BOOKOFFからはご意見受取りました、の返信があり、4月にそのまま愛称が使用開始になりました。
図書館の職員や利用者から丁寧な聞き取りもせず、つけられた愛称。これが個人なら、他人からつけられたいやなアダ名で呼ばれることはハラスメントになりかねません。個人と図書館は違いますが、名前(愛称を含め)を大事に考えてもらいたいです。まるでBOOKOFFが受託したような誤解を招くし、実店舗が市内で20年以上、中央図書館は40年以上あって市民に親しまれているのに場所の混乱も招く恐れがあるので、やめてほしいです。ネーミングライツそのものは否定しませんが、文化施設にはどうかと思いますし、せめて鎌倉の豊島屋ように、おカネは出すけれど店名はつけないという太っ腹なところを見習ってほしいです。(財政や公共施設再配置を知ろうと市議会をネットで見たところ、シュミレーション用資料の統廃合進行の表に中央公民館の新建設がないとのこと。いつ壊すシュミレーションなのか。)(紙)
・BOOK OFFとつくことで今までの利用方法が変更になった(図書館の機能がない、中古本の販売など)と誤解されたり、あまり利用しない人がますます利用から遠ざかるように思う。
BOOK OFFのネーミングを入れ(企業側がアピールし)ないと存続できないなら、入れていただかないといけないでしょうけれど、そうでないなら今までどおりがいい。(ネ)


アンケートを集計して

 集計してみて意外だったのが、(相対的には「反対」が多かったものの)「賛成」を選択された方が(特にネットでは)けして少なくなかったことです。市が財政難であり、「財政健全化」に取り組んでいる(その真偽はともかく)という認識が市民に浸透していることの現れかもしれません。そのためには命名権を「商品」とし売り渡す=市の財源とすることも必要というご意見です。もっと積極的に、BOOKOFFという著名な商標に便乗して市の知名度を高めるというご意見もありました。
 これらの背景には、2001年の小泉内閣以降の「官」から「民」へという「構造改革」の流れや、2003年の地方自治法改訂による指定事業者制度などがあり、それらによって公共と民間の結びつきに抵抗感が少なくなったことがあげられます。ひと昔前であれば、官民癒着や利益供与に対する警戒感から批判的見解があったところ、裏返って、それを積極的に受け止めるという傾向が強くなってきたと考えられます。
 反対のご意見については、まさにこれと正反対の理由から、命名権の商品化は納得できないというものが目立ちました。すなわち、図書館がもつ公共性を重視せよ、ということです。公的なものに私企業の名を冠することに対する抵抗感と危機感から発した批判的なご意見と見て良いでしょう。
 これまでも命名権の商品化として体育館などに企業名がつけられてはいました。しかし、より幅広い層の市民が、より日常的に利用する施設である図書館がその対象になったことで、いっそう違和感や拒否感が強くなったとみられます。また、図書館が文化施設であることも、命名権の商品化を容認するには高いハードルになったと考えられます。さらに、古書店と図書館という近似性がむしろ抵抗感を増したとも思われます。
 以上はアンケートを集約して感じた事のみ事実に基づいて記しましたが、以下は私的な見解になります。


東大和市当局と市民、その向き合い方

 図書館の命名権を商品化して市の財源とすることの是非や、BOOKOFFという企業名が愛称として適当か否かということはあるとしても、問題なのは、賛成・反対の意見がこれほどあるというのに、行政が市民の意見も聞かず、一方的に図書館の命名権商品化に踏み切ったことです。
 初めにも述べましたが、ほとんどすべての流れが決定してから市民に公表するというやり方です。先行した体育関連施設の命名権については大きな議論にもならなかったため、行政による命名権の商品化は多くの市民に受け入れられたものと、当局は勘違いしたのでしょうか。しかし、もし体育関連施設についてアンケートを取れば、多様な意見が噴出したかもしれないのです。
 市民の意見を聞かず、行政が独断でことを進めていけば必ず弊害が生じます。その旗振りをしているのは市長を中心とした市役所中枢の者たちであり、これにブレーキをかけられるとすれば市議会なのですが、議員は果たしてその役割を担っていると言えるでしょうか。
 市は命名権の商品化について、「新たな財源を確保し、その財源を活用して、施設の魅力や市民サービスの向上を図ることを目的」(市のHPより)と説明していますが、例えば年間100万円がそのまま図書館の経費として使われるわけではなく、実際には一般会計として繰り込まれることになるでしょう。賛成意見の中には、「財源確保になり、市民に還元されるから」ということを理由にしたものが多かったのですが、そうなる保証はないのです。たとえ結果的にそうなったとしても、図書館に企業名を冠することに関しては、数多くの反対意見もあるのです。
 国の予算もそうですが、どの分野に重点的に予算を配分し、何を予算削減するのかが問題です。国レベルでいえば、軍事費に湯水のごとく予算を注入し、医療費や社会保障費の削減を求めるなどもってのほかです。
 東大和市はどうでしょう。清原市民センターの職員削減による市民サービスの低下や、人員削減による交換便の廃止は市の業務だけにとどまらず、チラシ配布などの市民向けのサービスにも支障をきたしています。すでに社会教育課(生涯学習課)の職員削減と業務縮小や、職員の労働過重があり、これらはダイレクトに市民活動にも負の影響を及ぼしています。職員削減や市民サービスの低下は全て「財政健全化」の名のもとに行われているのです。公民館や地域校の統廃合など、本当に必要かと思えるような施策も市当局は示しています。
 反対意見の中にもあった「平和市民のつどい」に関しては、同事業の企画段階にも市民を参加させよという市民団体からの要望に対し、市長はにべもなくこれを拒否しています。今年もおそらく「熱中症対策」として式典は体育館内開催になることでしょう。市民の意見を聞こうとはせず、市当局が一方的にその施策を進める傾向が強まっているように感じます。市民の意見を反映させない(聞こうともしない)市政に未来はありません。これらを認めてきた議会にも一定の責任はあります。
 もちろん市民にも責任がないわけではありません。おかしいと思った時に、ためらわず、可能な方法で意見をあげる必要があります。そんなことは無理な注文でしょうか。一人ひとりの市民が意見を表明するということは、むしろ民主的に健全な社会の義務でもあります。国でも地方自治体でもその成り立ちは同じです。幸い、現代ではSNSという個人で発信できるインターネットツールがあります。いろいろと問題の多いSNSですが、それも使い方次第です。SNSも含め、市民が直接声を上げることによって身近な市政が少しは変わっていくかもしれません。共に頑張ろうではありませんか。
(2026.5.10)

【以上は「自由と人権通信NO.68」の原稿に少々手を加え、さらに情報公開請求で市側から示された資料(一部墨塗りもあります)も、リンクさせてご覧いただけるようにしたものです。通信と重なるところ分が大部分ですが、内容的にはこちらの方が手厚くなっています。
※ご意見がございましたら、中央公民館の「自由と人権」グループポケットに投函していただくか、自由と人権HPのメールフォームに書き込んでいただければ幸いです。】
       

◆ここでは、東大和市当局が「ネーミングライツ」と呼んでいる、東大和市立中央図書館の命名権商品化について、市民に対して行った賛否を含むアンケート調査とその報告を中心に、東大和市に対して行った情報公開請求申請で明らかになった資料を含め公表します。