★チラシ配置拒否裁判 勝利しました!
―被告・東大和市は上告を断念、東京高裁の判決が確定―
これまでのご支援・ご協力、傍聴へのご参加に感謝します
東大和市は原告に謝罪し、再発防止に努めよ!
東大和市立中央公民館長であった職員の処分、または市長自ら責任を取って自己処分せよ!
(裁判編:控訴以降)
こちらは、東大和市に対する損害賠償請求裁判(チラシ配置拒否事件)の記録のうち、控訴以降について記載しています。地裁判決までの記録については「裁判編:地裁判決まで」をご覧ください。
なお、提訴以前の行政不服審査請求については、「審査請求編」のページをご覧ください。
高裁判決確定
ー反転攻勢へ!−
チラシ配置拒否事件の最高裁への上告の期限は5月31日でした。知人が東大和市役所の総務課に問い合わせてくれ、市は5月31日までに上告しなかったことが分かりました。念のため、自分でも東京高裁に確かめました。被告・東大和市は上告せずという回答で、高裁判決の確定を確認しました。
表現の自由の侵害に踏み込まず、訴訟費用の9/10が原告持ちなのには不満も残りますが、行政手続法第7条違反、国家賠償法第1条1項を認めていることで良しとすることにしました。
こんな当たり前の判決を得るまでにかけた時間と労力(本人訴訟で費用はさほど多くはありません)が意味あった否かは、今後市が再発防止対策をいかに実施し、窓口対応の改善に結びつくかどうかがカギだと思います。そのためにもこれからも市の対応を注視し、議会でも追及をしてもらいたいと考えています。
あわせて、外部からの不当な介入がないようにアンテナを張る必要もあります。
これまでも行政に影響力を持つ者たち(市のトップ・議員・地域経済の親玉)が、公の施策に不当に介入することで、結果として表現の自由が奪われたり、損なわれたりする事例がありました。行政が毅然としていれば防げることですが、現実は心もとないばかりです。市民意識の向上が求められます。
(2023.6.3)
実質勝訴!
ー高裁は行政手続法第7条違反・国家賠償法第1条1項認定−
5月17日、午後1時30分から、東京高裁において判決の言い渡しがありました。その報告をします。
※判決文もご参照ください。判決文は→こちら
判決文は、冒頭で地裁判決の「取り消し」ではなく、「変更」となっています。また、文末では「本件控訴は一部理由がある」としています。「一部」です。
しかしその内実は、チラシの書き換えが控訴人(原告であるわたし)の自由意思ではなかったと認め、被告(中央公民館長)が字句書き換えの理由とした管理上の支障があるとは認められないとし、また、修正をしないチラシを受領・掲示することはしないという意思を館長が持っていた(書き換え未了のチラシの掲示拒否)と推定されるとし、応答義務の保留は行政手続法第7条違反にあたると認定、控訴人はチラシの書き換えによって精神的苦痛を味わったとして1万円という低額ながらも国家賠償法第1条1項の損害賠償責任を認定していることなど、控訴人の主張を大幅に採用した、実質的な勝訴と言える内容です。
いっぽうで、高裁判決はここまで認めておきながら、憲法第21条の表現の自由には踏み込んでいません。また、訴訟費用の9/10を控訴人負担としたことも不可解です。
提訴した側からいえば、当たり前すぎる判決なのですが、「当たり前」を獲得するまでの時間と労力は半端ではありませでした。しかし、その時間と労力がこの国、この社会では必要なのだとつくづく思い知りました。
まだ判決が確定したわけではありません。市側は上告(本判決を不服として最高裁に再度の審理を求める)するでしょう。更なる時間と労力が必要とされますが、二審の「勝訴」に力を得て、今後とも頑張りますので、変わらぬご支援・ご協力をお願します。
【付記:判決言い渡しの方法について】
蛇足ながら、判決言い渡しの方法について少し触れておきます。
これついては、立川支部でのまるで「流れ作業」のような、ひとを食ったやり方に遭遇し、戸惑いと、怒りを感じていました(「自由と人権通信NO.24」5頁「まるで流れ作業」参照)。
当事者(原告・被告)が不在ならばまだしも、たとえ出廷していてもお構いなく行われるそのような「儀式」が、裁判所いておいて日常であると高裁裁判官の発言からはしなくも明らかになりました。
このような官僚的不誠実さに一石を投じるつもりで、このことに対する疑問と改善を求め、高裁裁判官に上申書を提出しました。その結果かどうかは不明ですが、立川地裁の場面とは少し様相が異なりました。
1時半からの判決言い渡しは、先に4件の判決言い渡し(当事者不在)の後に当方の判決という手順で行われました。それまで当方は傍聴席で待機し、前4件の判決言い渡しが済んだあと、法廷内に招じ入れられました。おかげで立川支部のような「乱暴な」やり方にはなならなかったということです。
裁判所ですら(「裁判所だからこそ」?)、声をあげていかなければならないようです。
和解に向けての話し合いについて
前回の報告の中で、裁判所から和解が可能かどうかの話し合いの場の設定提起があったとお伝えしましたが、本日(4月26日)高裁の書記官から電話があり、被告弁護士の話しとして、東大和市は和解が困難として話し合いには応じない旨、連絡がありました。これで明日27日に予定されていた話し合いはキャンセルになりました。
高裁に出向いたところで結果は同じであったろうと考えれば、余計な労力を使わなくて済んだと言えます。あとは5月17日の判決を待つばかりです。
明日持っていくつもりだった上申書は、郵送にするつもりです。こちらの内容は以下で見られます。もっとも、上申書を提出したからといって裁判所がやり方を改めるなどとは期待していません。そんなことは金輪際ないでしょう。
裁判所ほど超保守的なところはありません。裁判所の「常識」を世間の常識に帰るためには、外部の力が必要です。そのひとつがマスコミでなければなりません。メディアがこれを大きく取り上げてくれることによって変わる可能性も出てきます。ウィシュマさんの問題しかり、袴田事件しかりです。
さらに付け加えるならば、報道機関が取り上げることによって、極少数ではあっても、同じような経験をした方が声をあげてくれる可能性もあります。そうなって初めて、この問題は社会化され、裁判所も改善に向けて一歩を踏み出すかもしれません。
同感される方は、短くてもいいですから、ぜひ報道機関に投稿、情報提供してみてください。
※上申書の内容はこちら
(2023.4.26)
控訴審 第1回口頭弁論 報告
ー証人申請認められず。結審−
4月12日(木)に控訴審の第1回口頭弁論が開かれました。
この日は2名の方が傍聴に駆けつけてくださり、常よりもファイトがわきました。傍聴に来てくださった方には、心からお礼を申し上げます。
審理の結果は、原告が申請した東大和市立中央公民館長の証人尋問は認められず、1回の口頭弁論で終結、判決日が言い渡されました。まるで「陳情不上程告発裁判」の「再演」を見るようでした。
判決:5月17日(水)東京高等裁判所 ※法廷は未定
しかし、今回は少し事情が違い、判決の後に続きがありました。裁判所から和解が可能かどうかの話し合いの場の設定提起です。
原告としては、損害賠償金請求は絶対的な要求ではないものの、市側の処分が誤りであったことを認めこれを取り消すこと、公的な場での謝罪と公表以外譲る気はないので、和解は成立しないと考えています。処分を取り消されたところで生じた事実が元に戻るわけではないのですから、謝罪や公表の具体的な内容が焦点となるだろうとは思います。
話し合いそのものを拒否する気はないのですが、現実的には和解成立は難しいでしょう。
この日、裁判官に口頭で訴えたことがあります。それは、裁判官立川支部での地裁判決の言い渡しのさいの不可解な状況です(詳しくは、「チラシ配置拒否事件 地裁判決まで」のページ、「【おまけ】これでいいのか?! 裁判所の形式主義」をご覧ください。)。せめて高裁では判決言い渡し後はいったん法廷を閉じてから、次の判決言い渡しに移ってほしい、少なくとも、原告・被告のいずれかが出廷しているのであれば、そうするのが当然であると。
しかし、裁判長は「原告が傍聴席に移ったのちは、次の事件番号の判決言い渡しを行う」との立場を譲りませんでした。立川地裁ではどうであったかを考えました。個人的な記憶では、まだ傍聴席に移る前から次の判決文を「唱えて」いたと記憶しているのですが、確証はないのです。当日傍聴に来ていただいた方にそのあたりのことを確かめ、必要に応じ文書にして高裁裁判官に提出するつもりでいます。
(2023.4.14)
被控訴人から答弁書が届く
−4月12日、東京高裁の控訴審傍聴へ!−
3月末日になって、被控訴人から答弁書が送られてきました。これに対し、高等裁判所に準備書面を手の提出も考えたのですが、口頭弁論期日が12日と迫っており、提出は困難と判断しました(3人の裁判官に読んでもらうためには、1週間ぐらい前までには提出の必要があると高裁書記官から伝えられました)。こちらの控訴理由書は2月20日に提出してあるにもかかわらず、弁明書の提出を3月末まで引き延ばすこと否、「法廷戦術」のひとつなのでしょう。
被控訴人答弁書はこちらでご覧いただけます。
内容は地裁判決を盾に、「館長がチラシの受け取りを拒否した事実はない」「館長の書き換え要求は不合理なものではない」「控訴人のチラシの書き換えは任意であった」とし、館長の証人尋問は不服審査の場での口頭意見陳述によって不要である、という建付けになっています。
「館長がチラシの受け取りを拒否したか否か」「チラシの書き換えは控訴人(わたしです)の意志によるものか否か」のふたつがこの裁判の争点になるとは従前から述べていた通りです(原告準備書面(2)「3 本件の争点」など)。
行政側が書き換えを要求し、それを申請者が拒否したとして、なお行政側が書き換え要求を続けたとき、これに応じず申請書を置いて帰るなどという対応が実際の場であり得るでしょうか。地裁判決・ならびに被控訴人の主張は、申請書(チラシ)を置いて帰らなかったから、受け取り拒否はなく、書き換えも控訴人の自由意思によるものとしているのです。
しかし窓口での申請者の現実的対応としては、申請そのものをあきらめるか、行政側の書き換え要求に応じるか、いずれかの選択を迫られることになります。そのうえでなされた書き換えは被控訴人の自由意思によるものではなく、強いられてなされたものである、これが庶民、人民の普通の感覚です。
控訴理由書ではこのことと、表現の自由について事細かに主張しましたが、果たして高裁ではどのように判断するのか。陳情裁判のように、証人申請の必要なし、1回の口頭弁論で結審にし、判決日を告げるだけになるのか、法廷までおいでいただきその実態に触れてください。
(2023.4.6)
控訴しました
−控訴状・同理由書・証拠申出書提出−
すでに宣言しておりましたが、本年1月4日に、東京地裁立川支部に控訴状を提出、同2月20日に(書類移送済みのため)東京高裁民事20部に控訴理由書と証拠申出書を提出しました。あとは高裁からの連絡を待つのみです。たった1回の口頭弁論で結審となるか否か、皆さまご注目ください。
※控訴状は→こちら、控訴理由書は→こちら、証拠申出書は→こちらからご覧いただけます。
(2023.2.21)